復興制度づくり部会
| 第1部会は、復興制度づくりの検討を目的としています。災害復興基本法(仮称)のしくみがどうあるべきかを検討することが最終目的です。そのため、この部会ではおおよそ3つの課題を検討する予定です。すなわち、第一は、制度の検討の前提として現行の法制度の理解、制度運用の理解を深めることです。災害対策基本法をはじめ、多くの法律が制定されていますが、これらによる法制度は実際にどのように有効で、またどこに問題があるかの検討です。外国の法制度の参考にするため、調査したいと考えています。第2は、具体的な災害についてその被害とその復旧・復興のプロセス等の調査です。これは法制度の具体的な運用の問題でもありますが、災害の種類・態様は様々であり、被害、復興のプロセスもそれぞれの地域で異なると考えられるため、調査を通じて実際の課題・問題等を検証する予定です。第3は、他の部会の研究調査もふまえて、具体的に復興基本法のしくみを検討することです。 中越地震の被災地である新潟県旧山古志村、三宅島火山災害の被災地である三宅島等は、すでに昨年の研究所創設以来、調査を行ってきました。また、朝日新聞と共同で、被災者災害支援法の運用と自治体による独自施策等の調査を行い、調査結果の取りまとめを行っています。調査項目は多くの事柄にわたっており、自治体の自然災害に対する実際の対応の他、対応策の内容、今後の施策展開等を纏める作業を行っています。これをもとにわが国の自然災害への対応策のあり方等を検討する予定です。 |
復興思想づくり部会
| 復興思想づくり部会は、当初の「住まい(公的支援、共済制度、公営住宅、複線支援、地震保険、マンション)」に関する部会と「暮らし(県外避難、災害保険、支援金、食事供与、入会権、財産区、剥奪感)・なりわい(個人再生法、雇用)・こころ」に関する部会が統合されたものです。カバーすべき項目は多岐にわたりますが、根幹には復興理念の明確化、各種の対策の効果評価、未着手の課題の棚卸、の3つの課題を受け持っています。 2005年6月11日に第1回研究会(報告者:田並尚恵・今井信雄)、10月1日に第2回研究会(報告者:矢守克也・坂健次)を開催しました。報告ならびに討論から得られた知見のうち重要なものは次のとおりです。都市部と農村部では災害、ひいては復興も異なります。復興は、生産過程とそこに占める立場によって意味が異なります。防災・減災問題には、時間論を導入すべきです。復興の精神的側面を重視し、「象徴的復興」概念を確立する必要がある等々です。なお、今後の課題として指摘されたもののうち重要なものは次のとおりです。復興の「呼び水」になったものの整理。県外避難者の追跡調査。職業別「復興」観念の整理。全体研究会で指摘されたもので第3部会に関連をもつものとしては、災害発生直後の初動から復興に至るまでの時系列的データベースの作成、「ミスト・オポチュニティ(=不幸を回避する機会を取り逃がした事例)のデータベースの作成等です。 さらに坂健次は『世界』12月号のなかで住宅再建共済制度をはじめ各種の公助・共助・自助のしくみと規模が住宅再建に向けて果たす効果を評価できる理論的枠組みを示唆しました。 次回研究会(未定)は「こころ」を主題とします(報告者:池埜聡ほか) |
財務部会
| この部会では、自然災害からの復旧・復興にかかる資金を、誰がどの程度どのように負担すべきかをテーマとして、お金の問題を広範囲に検討しています。公助、共助、自助のどれもが必要であるということは次第に認識されてきましが、具体論になると意見の集約は簡単ではありません。資金の出し手と受け手を識別してそれぞれの組合せをみれば、さまざまな仕組みや経路が考えられます。復興制度が制度として確立されるためにはある程度の公的資金源(公助)が必要ですが、将来世代に負担を転嫁できないという予算制約の問題もあります。したがって、公助のあり方がこの部会での最大のトピックではありますが、それは共助の仕組みや自助努力の可能性との関連で考える必要があるのです。 今年度は、過去の災害事例について、復興の資金手当てはどのようになされてきたかをそれぞれの専門家を講師に招いて検討しています。 今後も、復興財政、復興金融、共済制度、保険制度、産業復興支援、家計復興支援、義捐金、NPO・NGOの資金調達、外国の事例、外国からの義捐金、国際機関からの借入れ等、幅広い災害財務の諸問題の検討を継続する予定です。 なお、この部会はDRI復興経済研究会(人と防災未来センター主催)との共同運営を行っています。参加者の専門性も経済だけでなく、会計、法律、都市計画、防災学、ジャーナリズム等多岐にわたっています。テーマに応じて部会外からの自由な参加も認めています。スケジュール等の案内については、部会幹事の永松伸吾氏の次のホームページで公開されています。 http://www.dri.ne.jp/nagamatsu/Project/recovery/index.html |
東京ブランチ例会
| 9月27日、国の中央防災会議は首都直下地震への対策をまとめたマスタープラン(大綱)を決定しました。これによると、東京湾北部でマグニチュード7.3、阪神・淡路大震災クラスの直下地震が起きると、最悪の場合、死者1万3000人、建物倒壊・焼失約85万棟、経済損失約112兆円の被害が出ると推計されています。阪神・淡路大震災に比べ、死者は2倍、建物被害は約3倍、経済損失は実に11倍という大惨事が想定されているわけです。 私たちは10年前、都市直下地震の恐ろしさを身をもって体験しました。しかし、首都東京に激震が走ればその比ではありません。東京都は、KOBEでの事後対応を教訓に、都市復興マニュアルや生活復興マニュアルを定めています。国もいよいよ本腰を入れて対応に乗り出す構えです。しかし、被災者再建支援、被災地復興支援のための法制度は依然、未整備のままです。 このことを前提に東京ブランチでは、二つのことを考えています。 一つは、政府のお膝元です。防災・復興支援について最新の情報を入手し、研究所へ持ち帰ることです。定例研究会にきていただいていているメンバーも防災・復興支援の分野では最先端の方々です。最高の知見を得たいと考えています。また、東京ブランチの定例研究会は開かれた研究会です。当研究所に籍のない研究者や学生、メディア関係者も興味の赴くままに姿を見せます。復興支援に向けてのシステムづくりが必要だという当研究所の思い「再生への思想」が各界各層へ広がっていけばと願っています。 もう一つは、われわれの提案すべき内容が固まったとき、東京ブランチが普及活動の最前線になるだろうということです。われわれがロビー活動をするわけではありませんが、当然、霞が関や永田町、さらには中央の経済界や法曹界、学会の理解を得なければ提案の実現は難しいでしょう。東京ブランチを橋きよう頭とう堡ほに将来、シンポジウムや報告会などを随時、催していくことを考えたいと思います。 もちろん、関西の研究員が上京して定例会に参加することは自由です。開催日時・テーマを前もってお知らせしますので、ぜひ参加のうえ議論を盛り上げてください。 |
全体研究会
| 災害対応は総合学です。自然科学や理学、工学だけで対応できるものではありません。阪神・淡路大震災の直後、作家の小松左京氏が朝日新聞に次のような主張を寄稿しています。 「日本列島を襲う自然災害─地震や津波だけでなく、台風、噴火、洪水といったものを含めて─の基本的性格を、自然科学系に輪郭を与えてもらうだけでなく、工学系、社会学系、経済学系、医学系、政治学系、法学系、さらにはマスコミ・ジャーナリズム系も参加して、『総合防災学会』が組織されるべきではないか」 復興も同じだと考えています。一つの都市、一つの村、一つの地域ごと多くの人生が壊されるわけです。社会インフラの復旧はじめ、住宅、生業、生活、こころの再建などに要する知識、知恵、労力は並大抵のものではありません。 全体研究会では、この同じ災害にかかわっていても活動分野、研究対象、支援手法の違う人たちが顔をそろえ、学際的交流を深めるとともに、専門外の知識を吸収する場でもあります。 研究所にかかわる人たちはさまざまな知識・経験をお持ちの方ばかりです。ゲストスピーカーを呼んで、勉強するのも一つの方法ですが、研究員それぞれが蓄積されている知恵を共有する場でもあります。2年目以降は、各ワーキンググループが進めている研究の方向性や欠けている分野の調整もこの全体研究会で進めていきたいと考えています。 再び、小松氏の言葉を借りるなら、各界・各層で日夜、災害に対たいじ峙している人たちが「安全のための連帯」によって「生命社会の防衛組織」を構築していく。全体研究会が、そのことを確認する場となれば、と考えています。 |

